自由粉砕機の紹介
株式会社奈良機械製作所(代表取締役 奈良自起)の
創業者 奈良自由造が、1927(昭和2)年に完成した
「自由粉砕機」が、日本機械学会2020年度の
「機械遺産」第102号として、認定されました。
【日本機械学会「2020年度 機械遺産」 機械遺産第102号】
【自由粉砕機 第1号機 (奈良式高速衝撃粉砕機)】
機械遺産とは
日本機械学会は、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本国内の機械技術面で歴史的意義のある「機械遺産」を認定しています。
次の各項目のいずれかに該当するもので、広く機械技術・機械工学に寄与したものを【認定基準】として、2007年以来現在(2020年)までに、104件が認定されました。
- 対象物が、その独自性(例えば、はじめて開発されたもの、最初のもの、現在最古のもの、以前に広く使われた機械で使用されている最後のもの)によって区別されるもの
- その他、機械技術史上の特徴を保有しているもの
- 既に博物館などで記念物として認定されたものも含む
自由粉砕機 開発の歴史
「自由粉砕機」の開発は、弾力性があり、高温になると変質して、当時の技術では困難なカゼイン(農薬の展着剤)の粉砕の依頼が発端でした。
奈良自由造は、洋書を参考に、衝撃柱を多数取付けたローターの高速回転で生ずる強い衝撃力で短時間に大量の微粉砕ができる粉砕機に着目し、同時に奈良自身、ビール瓶の破壊実験を行い、衝撃の強さ、つまり「落とす場所(地面・畳上等)」と「速度」 によって壊れる状態が変化することを確信して、設計に着手しました。
その結果、カゼインを始め多種多様な原料の粉砕を可能にした新しい粉砕機が完成しました。
自由粉砕機の歴史
奈良商店機械部
(現 株式会社 奈良機械製作所)
(現 株式会社 奈良機械製作所)
- 1924年
-
- 奈良商店創立
- 小畑技師よりカゼイン(農薬)の粉砕依頼を受け粉砕機の開発開始
- 1925年
1月 -
- 奈良式高速衝撃粉砕機 無負荷運転に成功
秋-
- 試作機を古河理化試験所に納入
- 1927年
2月 -
- 第1号機、旭電化工業株式会社殿(現 株式会社ADEKA殿)へ納入
6月-
- 実用新案【登録第124789号】出願
- 1928年
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- ゴム製スクリーンを開発
- 実用新案 「粉砕機」(第137552号)出願
- 1940年
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- 特許・実用新案計40件を突破
- 1945年
-
- 戦後の食糧難対策に助力し、戦後復興に貢献
自由粉砕機の実用新案
衝撃力に加えてせん断力を増大できる構造を検討し、高性能な粉砕が実現できる溝構造の発明は、実用新案に登録されました。
奈良式高速衝撃粉砕機の原理とは
高速衝撃(空間で物を粉砕する)という方式は、当時存在していた石臼やロールミル・ボールミル(圧縮・摩擦で粉砕する方式)と比較して、高エネルギーの衝撃力が発生できました。
上部のホッパーに投入された原料は、高速回転(毎分3,500回転)する回転盤に取り付けられた衝撃柱に衝突し、衝撃力が発生し粉砕されます。
また、発生する高速気流による粉末の冷却効果も利用できました。